Bicycle Security Lab

自転車の鍵の格付サイトです。鍵のレビューや切断実験、鍵の研究を行っています

2026年最新版 自転車ロック比較ガイド:U字ロック・チェーン・ワイヤーロック・ブレードロック・スマートロック・アーマードロック徹底比較

ロードバイク・クロスバイク・電動自転車を盗まれないために知っておきたい、自転車の鍵の種類や選び方を紹介したいと思います。

多くの自転車の鍵を実際に切断して、格付している当ブログだからこそ、忖度のない内容で書いていきます。

愛車を守るための自転車ロック選び

「ほんのちょっと駐輪しただけで盗まれた…」
そんな経験談、周りで一度は聞いたことないですか。

実際、日本での自転車盗難はまだまだ多いんです。

数十年のトレンドみると下降傾向にはあるのですが、警察庁の警察庁 犯罪情勢によると、2024年に盗まれた自転車は174,020台。

さらに、法務省の (犯罪白書では2023年は164,180台、前年比27%増。)

つまり、油断するとすぐ盗まれてしまいます。
特に都市部では、40%以上の人が一度は盗難被害を経験しているという調査 PR TIMES 調査もあります。 

だからこそ、「どんなロックを選ぶか」がとても大事になってきます。

ロックを選ぶときにチェックしたい6つのポイント

ロック選びは「値段」や「軽さ」だけでは不十分。
この6つを意識して選ぶと、失敗が少なくなりますよ。

①切断されにくさ(ボルトクリッパーに耐えられるか)

②ピッキング耐性(カギ穴の精度や構造。)

③重さ・持ち運びやすさ(必ず持ち運ぶものなので)

④使える場所の自由度(コンビニのポールに付けられるか)

⑤価格に見合うか(コスパ)

⑥解錠・施錠のしやすさ(施錠が億劫にならないか)

 

各カテゴリー最後に、鍵を切って切断耐性を検証済の鍵の中からおすすめの記事のリンクを張っておきますね。

U字ロック

ガッチリした見た目のU字型ロックの防犯性能は、自転車ロックのカテゴリーの中でもトップクラス。

とりあえず、これを付けていれば安心。

ただし、500g以下のアルミ材のものはボルトクリッパーで切断が容易のため、用途によって使い分けが必要です。

評価

①切断されにくさ

→ 焼入れ鋼の太さ13〜30mmクラスなら、ボルトカッターで切断はほぼ不可能
グラインダー(電動切断工具)が必要で、音と火花が出るためかなり目立つ。

最近ではタングステンカーバイド合金などを使ったグラインダーでも切断が大変(切断には複数枚のブレードが必要)な鍵も出てきているが、5万円以上で1.7kgと購入も運用もハードルは高い。

②ピッキング耐性

→ 高級モデルは「ディンプルキー」を採用。

ABUSの使っている「X-Plusシリンダー」は強い。
安価モデルもディンプルキーが増えているが、ピンが少なく正直不安。

③重さ・持ち運びやすさ

それなりのU字ロックなら0.9〜3kg。
1kg以上が安心ライン
フレームマウントに取り付けるかリュックやかごへ。
しかし、軽量化を求めるロードバイクユーザーには重いと感じる人も多い。
金属の材料やサイズによって重量はまちまちなのでスペックの確認を。
U部分の内径が大きいと便利だけど、その分重量は格段に重くなるので注意。

④使える場所の自由度

固定されたバイクラックや細いポール向け。
コンビニのポール(多いのは太さ76.3mm)は中サイズのU字ロックならいける。
太い電柱やフェンスには使えないことが多い。

でも多くの場合、何とかなる。。

⑤価格に見合うか
1万円前後〜3万円超ならまず安心。1万円以下は、弱い材料を使っていることが多いので、切断性能を必確認。
安くて強いものもあれば、高くても簡単に切れるものもあるので見た目で分からない。

鍵穴に防塵キャップがある製品は◎。

U字ロックは、構造がシンプルなので不具合が起こるのはシリンダーぐらい。

⑥解錠・施錠のしやすさ

「カチッ」とはめるだけの簡単で安心感あり。

U字ロックの場合はU部分の大きさと対象物との相性を事前に見極める必要あり。

 

1kg以上の鍵は最強部類が多いので、「都市部での長時間駐輪」や「高価なロード・クロスバイク」「電動自転車」におすすめ。

■750mmのボルトクリッパーに耐える商品。

■450mmのボルトクリッパーに耐える商品。

 

チェーンロック

チェーンを布やナイロンでカバーしたタイプ。自由度が高いのが魅力。

評価

①切断されにくさ

太さ10〜14mmの硬化鋼チェーンなら、油圧ニッパーでも苦戦
7mm以下だと750mmボルトクリッパーで切断できることが多い。
一方4mm程度でもニッパー等では切れないのでワイヤーロックよりは全然まし。

②ピッキング耐性

高級品はディスクシリンダーを採用し対策済み。この辺りはどの鍵も同じで価格に相関して強さが変わる。

③重さ・持ち運びやすさ

1〜4kgとラインナップは広い。チェーンが太くなると強くなるが、それなりに強い鍵は1kg以上と重いため、日常的に持ち運ぶのは厳しい。

④使える場所の自由度

施錠できる場所は、自転車の鍵のなかでもトップクラス。

長さがあるため、地球ロック(フレーム+固定物)に最適

とくに1m以上を選べばほぼ困らないかと。

数キロある太い重いチェーンロックは、「自宅専用」「駅置き専用」にする人が多い。
数百グラムの軽い鍵は小型のボルトクリッパーで容易に切断可能できるので、トイレなど一時的な場合のみ推奨。

切断耐性を考慮すると、構造上U字ロックよりも重くなるケースが多い。

⑤価格に見合うか

1〜3万円が安心。価格よりもチェーンの幅と材料を見る方がよい。

安い鍵はほぼ全部細いチェーンなので適材適所をおすすめ。

⑥解錠・施錠のしやすさ

チェーンにはカバーが付いていることが多いため本体を傷つけにくいが、太いチェーンをダラリとフレームに落としたりすると傷がつく可能性も。

やはり重量感が最大のデメリット。持ち運びのために身体に巻くユーザーも一部。

前輪やシートの盗難対策など補助的に使うなら細いチェーンもあり。

 「自宅駐輪場」や「駅前などで長時間駐輪」におすすめ。

■450mmのボルトクリッパーに耐える商品。

 

ワイヤーロック(ケーブルロック)

軽くて安くて使いやすい。でも防犯性能は一番低い。

評価

①切断されにくさ

ボルトカッターですべて数秒で切断可能

ほぼすべてのワイヤーロックは安価なニッパーで10分以内に切れる。
メインロックとしてはリスク大。絶対やめた方がいい。

②ピッキング耐性

ワイヤーを簡単に切断できるので、ピッキングを考慮する必要はない、、

安価な鍵はダイヤル式の場合も多いが、時間をかければ必ず解錠できるため、当ブログとしては非推奨。

③重さ・持ち運びやすさ

300〜800gと軽量。最軽量で持ち運びに便利。

④使える場所の自由度

U字ロックなどと比べると長さがあるため、ホイール・サドルもまとめて施錠可能

ただ、チェーンロックほどの柔軟性はなく、長さも数十センチと短いことが多い。

⑤価格に見合うか

比較的安価で、1,000〜5,000円程度。価格は安いが、防犯性は確実に低い。

補助的な鍵、サブ用と割り切ればコスパ良し

⑥解錠・施錠のしやすさ

細いワイヤーが多いため施錠は比較的楽に行える。

軽くてすぐ使えるので短時間駐輪には最適。


「手軽さ重視」のユーザー向け。

サブロック用に最適。メインで使うのはNG。

 

ブレードロック(折りたたみロック/フォールディングロック/多関節ロック)

複数のスチールプレート(ブレード)をリベットで繋ぎ、折りたたんでコンパクトに収納できるタイプ。ABUS「Bordo」シリーズなどが有名。

評価

①切断されにくさ

スチールプレートを連結した構造の鍵で、5mm厚の焼入れ鋼プレートが安心ライン。
ワイヤーよりは強く、チェーンに近いレベルの強さがある。
ABUS6500などはそのへんのU字ロックよりも強い。

数千円のものは、金属プレートではなく棒だったり薄いペラペラの板だったりするので注意が必要。

②ピッキング耐性

高級モデルはちゃんとしたディンプルシリンダー採用で安心。

③重さ・持ち運びやすさ

しっかりしたブレードロックは、900g〜1.5kg程度のものが多い。
プレートを複数枚重ねているため重い。
異常に軽い商品はプレートではなく棒だったり、アルミプレートだったりするので注意。
専用ケースでフレーム装着できる製品が多く持ち運びやすい。

④使える場所の自由度

長さは主に70〜120cmで、チェーンほど自由ではないがU字より便利。

私もこのタイプを使用している。75cm程度あればほぼ困らない。

⑤価格に見合うか

構造的に高価になりがちで、しっかりしたものは1〜2万円。
防犯性能と携帯性のバランスが良い。
安い製品はリベットが弱かったり、金属疲労でプレートが折れることも。

⑥解錠・施錠のしやすさ

折りたためばコンパクトになり、フレームに固定できる仕様も多い。

広げると大型のU字ロックよりも大きくなるものが多い。

普段使いに非常に便利でおすすめ。

■450mmのボルトクリッパーに耐える商品。

検証では750mmのボルトクリッパーで切れてしまったが、ほぼほぼ耐える。

 

スマートロック(電子ロック)

Bluetoothや指紋認証で開け閉めできる次世代型。GPS搭載型やアラーム、通知機能で盗難抑止力もアップ。ただ、大手メーカーは商品を出しておらず、クラウドファンディングなどが多く、若干不安。。

評価

①切断されにくさ

スマートロックとはいえ、強固さは当然カテゴリーや材料に依存する。

アラーム搭載はブレードロックやU字ロックタイプが多く強い。

②ピッキング耐性

検証数は少ないが、指紋認証は便利な反面、雨天時などは注意が必要。

Bluetoothなどはスマートフォンとの兼ね合いで自動で開かなかったり、アップデートが必要だったりとある程度のリテラシーが必要。

物理キー不要なものが多いが正直持参するのがおすすめ。

③重さ・持ち運びやすさ

通常の鍵の重さ+数グラム上乗せで重くなりがち。

④使える場所の自由度

製品による。折り畳み型なら扱いやすい。

⑤価格に見合うか

通常の鍵+数千円上乗せでやっぱりコスパは悪いものが多い。

⑥解錠・施錠のしやすさ

基本的な施錠何度はカテゴリーに依存。

振動時の通知やGPSは便利。バッテリー搭載機が多いので適宜充電も考慮が必要。

 

「ハイテク好き」「短時間の駐輪が多い人」におすすめ。
自転車の鍵は、屋外放置で雨や埃・長時間の振動、落下リスクなど精密機器に適さない環境のため、判断が難しいケースが多く当ブログとしても推奨しずらい。

出先で、アラームやGPSの動作不良程度なら最悪何とかなるが、シリンダー部の不具合が起こると絶望しかない。

■750mmのボルトクリッパーに耐える商品。

 

ジョイントワイヤー錠(強化ケーブルロック、アーマードロック)

内部ワイヤーを金属シェルで覆った構造のアイデア商品。

評価

①切断されにくさ

ワイヤー単体より切断に時間がかかるので、ワイヤーよりまし。
高額商品は小型のボルトクリッパーでの破壊は難しい。

②ピッキング耐性

シリンダー部分は製品ごとの差が大きい。安価な鍵はリスク大。

③重さ・持ち運びやすさ

ワイヤーより重いが、チェーンよりは軽い(1〜1.5kg程度)。

金属シェルが強固なほど重くなる。

④使える場所の自由度

多少の柔軟性はあるため、地球ロックも可能。
ただ、金属シェルが固く、ワイヤーやチェーンロックほどの柔軟性はない。

⑤価格に見合うか

構造的にワイヤーロックより高価で5,000〜15,000円。
「軽量さ」と「そこそこの防犯性能」を両立はしてくれる。

⑥解錠・施錠のしやすさ

ワイヤーロック感覚で使えるが、金属シェルの硬さ次第で取り回しが少し不便になることも(シェルが厚く、連結が硬いと切断難易度は当然上がる)。

 

チェーンより軽くて、U字ロックより柔軟性を求める人におすすめ。

ただし安物は、シェルの隙間からワイヤーがむき出しになっているものが多いので注意。

その場合、ニッパーで簡単に切れるため、ABUSなどのブランドを選ぶのが吉。

製品としての作り込みが難しく、最初は問題なくても使っている間にシェルに隙間ができるて機能不全に陥ることもある。

現在では主流からは外れている。

■300mmのボルトクリッパーに耐える商品。

 

【補足】リング錠・馬蹄錠は推奨していません

自転車の後輪に固定で取り付けられているリング錠。

これは地球ロックできず、自転車を抱えてもっていかれてしまうので非推奨です。

ハイエースや軽トラに乗せられたら一瞬です、、

元から付いている場合はもうひとつ購入してWロックしましょう。

 

自転車ロック比較表(6種類)

 

まとめ

大型のボルトクリッパーやグラインダーを使えば、切れない鍵はありません。。

そのため、自転車の鍵選びには「絶対の正解」はないのです、、

U字ロックのように防犯性能が抜群でも、持ち運びの重さがネックになることもあるし、ワイヤーロックのように軽くて便利でも、簡単に切断できることもあります。

今回ご紹介した6種類のロックにも、それぞれに強みと弱点がありますからね。

 

本気で盗難を防ぐなら:U字ロックが第一選択。
普段使いでのバランスを求めるなら:ブレードロックが候補に。

(私も現在、外への駐車が少なくなったため、ABUSの6000というブレードロックを使用しています。以前は6500を使用していましたが重くて、、)

柔軟性のために重量を許容できる人:チェーンロックも選択肢の一つ。
非推奨:ワイヤーロックは絶対使わない。リング錠のみで使用しない。

 

全体的に安い鍵は一長一短なので、鍵のランキングなどを見て判断をおすすめします。

 

長年鍵を切ってきて思うのは「1本で完璧は存在しない」ということです。

どんなロックでも工具を使えば時間の問題で壊されてしまうため、大切なのは、「盗むのに時間がかかる状況を作る」こと

それが、窃盗犯に「この自転車はやめよう」と思わせる最大の防御になります。

 

大切な自転車を盗難されませんように。