Bicycle Security Lab

自転車の鍵の格付サイトです。鍵のレビューや切断実験、鍵の研究を行っています

指紋解錠U字ロック「U・Be・Lock」を格付してみた

U・Be・Lock

サイズ:高さ220×幅140×厚み20~38(mm)

重量:約1000g(本体のみ)

バッテリー容量:260mAh 3.7V

動作温度:-10℃~45℃

記憶可能指本数:10本

使用可能回数:フル充電状態で3000-3500回

「レビュー」

自転車の鍵の中では異色の「指紋認証」でロックを解除できるU字ロックです。

そもそも、自転車の鍵は屋外で使用するため、長期間にわたる雨、風、埃、振動、衝撃と、かなり過酷な状況にさらされています。それでも鍵は必ず精確なロックと解除を求められるわけで、、、過去、色々なスタートアップを見てきましたが、デジタル化はことごとく失敗してきました。

そんな中で、今回の商品は、独特の感性をお持ちの「サンコーレアモノショップ」の取り扱いということで、個人的には若干期待しています!

ちなみに、商品自体は海外のサイト等で「FL-U9 FIPILOCK」などの名前で形跡が見つかりました。

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思いのほか、しっかりしたパッケージに入って届きましたね。

今回はサンコーの楽天ショップから購入しました。

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自転車の鍵って結構簡易パッケージが多いので、ちゃんと梱包されているだけで好感度UPです。家電に近いのかもですね。

外見から見ていきます

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ぱっと見はもう普通のU字ロックです。ブラック一色。

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比較的、標準なサイズ感です。このぐらいあれば地球ロックもしやすいかと思います。

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U字の部分にはカバーがされていて、軽く当たったぐらいで傷はつきそうにありません。とりあえず問題はなさそうです。

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ゴムでカバーされている場所が鍵穴です。一応、ここもゴムカバーがあるので、防水仕様になっています。

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U字部分を外してみました。見える部分のロック機構としては、アナログですね。キーで解錠できるので、それはそうか。

f:id:tugune:20201222160308j:plainU字部分をロックする切れ込みは片方だけですね。構造上、仕方なかったのかもしれませんが、切断されたときのことを考えると、ダブルロックが理想的なので、少し残念です。

アナログの鍵穴をチェック

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ゴムカバーを外すと鍵穴が現れました。ん?変わった形状ですね。

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独特な鍵ですね。今まで見たことがないタイプです。

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こういうのもあるんですね。勉強になります。ディンプルと違って向きはありますが、とくに引っかかる感じもなく、比較的スムーズに解錠できました。

指紋認証部分をチェック

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蓋をスライドさせると指紋認証用のパネルがでてきました。

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蓋カバーは固めなので、このように途中で止めることができます。片手でも簡単に開けられましたよ。

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充電が少なかったようなので、とりあえず充電します。あ、、マイクロUSBのカバーが取れた、、 

これ再度取り付けるの大変なので、外れないように気をつけてください。

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マイクロUSBでとりあえず充電します。充電中はLEDが光るようです。

指紋解錠を試してみた

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では、指紋認証の登録をしていきます。

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ピッピっと説明書を見ながら簡単に登録できました。

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10本いけるようですが、とりあえずもう一本。

 

操作感としては、慣れればほぼ一発で開きますね。時間も1秒程度。

施錠も簡単で、U字の先をシリンダーに押し当てると、ピッとなってロックされます。

 

確かにコレになれると鍵出すのは億劫になりそうなレベルの快適さ。たまにエラーになることもあるのですが、そのまま数回タッチし直すとほぼ通りました。

このレビューしている時期は、夏と違って手がベタベタしてなくて、真冬のように乾燥しすぎてもいないので、指紋認証にはぴったりだったかもです。

iPhoneとか手汗でベタベタし出すと、すぐ認証エラーになることが多いので、人によっては操作感が変わるかもしれないのでお気をつけください。

雨を想定してみました

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雨の日に自転車に乗ることを想定して、雨が指紋認証部分にたまったとします。

実際には水道水をたらしました。

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さすがにこれだと、最初の数回エラーで光って、その後は無反応に、、

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水の量を少なめにしてみました。これでもエラー出しまくりですね。

 

その後、水を拭き取って指紋認証したところ、無事解錠できました。

雨の日は自転車に乗らない人が多いと思いますが、指紋部分が濡れてしまったときはアナログの鍵で開ける方が早そうです。

まあバッテリーの充電忘れもあると思うので、鍵は常に携帯しておいた方が安心ですね。私も家のドアにスマートロックを使っていますが、鍵は常に持ち歩いてますから。

あくまで指紋認証は補助機能だと思わないといざというときのリスクが大きすぎます。

 

雨に関しては、メリットとデメリットのどちらを取るかですね。普段使いなら指紋認証は以外と全然ありでしたけど。

ちなみに、数回コンクリートの床に軽く落としてみましたが、いまのところ壊れる感じもなくしっかりしています。

ご注意事項
○落としたり強い衝撃を与えないでください。

浸水を想定してみました

また、防塵・防水機能はIP65に対応しています。
雨や砂があるところでもしっかりガード!

※防塵・防水機能を得るため、使用時はキャップや蓋を確実にしめてください。
※完全防水ではありませんので、水没させないでください。

 この鍵の防水機能はIP65です。

防塵性能「6」については、粉塵の侵入が完全に防護されている「完全な防塵構造」。
防水性能「5」については、3mの距離から全方向に12.5L / 分・30kpa の噴流水、3 分間「いかなる方向からの水の強い直接噴流によっても有害な影響を受けない」

とされています。

そのため、やってはいけない禁断の実験になること理解した上で、浸水させる実験してみたいと思います。防水性能は「7」一時的潜水相当かと思います。

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水没。指紋センサーは下側で鍵穴も完全に水没しました。

最初は正常に動作していたのですが数秒後、指紋認証してもロックがかからなくなり、次第に指紋認証の反応がなくなり、完全に沈黙しました。

普段の生活ではめったに起こりえない完全な水没なので問題ないかと思いますが、これも精密機器のリスクの1つであると考えるため、あえて記載しておきます。 

※すべての実験が終わったあとで行っています

パルミーとサイズを比べてみた

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手元にあったパルミーと比較してみたいと思います。

パルミーは正直、常用するには少し小さいので、「U・Be・Lock」ぐらいのサイズ感が使いやすいです。

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どちらも真っ黒なので、遠目だと違いは分かりません。

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U・Be・Lockはシリンダーのサイズも大きいので、かなり威圧感があります。

これを切ろうとする人は少ないんじゃないかなと思います。

色々なサイズを測ってみた

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U字部分はカバー込みで約17.5mm。それなりに太いです。

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横の内寸は、約81mmです。

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縦の内寸は、約160mmです。公式だと180mmなんですが、、

なぜでしょう。20mmの差はちょっと注意ですね。

アームの外側までで約180mmなので誤植?

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念のため内側をもう一度。横は80mmですね。

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重さは1021gです。若干オーバーですが、許容範囲です。

実際に取り付けてみた

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縦の長さが160mmあるので余裕です。

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重量はありますが、その分大きめのU字ロックなので使い勝手は申し分ないですね。

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フレーム部分も必要最低限大丈夫そうです。

「実験」

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このU字ロック。シリンダーの根元辺りで細くなっているので、まずはここを狙います。

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ニッパーや金切バサミではもちろん歯が立たず。小型のボルトクリッパーだと刃の厚みが邪魔して細い部分にしっかり刃が届きませんでした。

 ということで、太い部分を堂々と攻めたいと思います。

300mm、450mm、750mmと手持ちのボルトクリッパーでチャレンジしましたが、体重を乗せても切断は難しかったです。 

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戦った形跡です、、内部の金属はさほど影響は受けていません。

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クローブを使い忘れていたため、グリップのゴムが擦れて、軽い内出血状態、、

電動のサンダーでチャレンジ

いつもお願いしている有識者にお願いして実験をしてもらいました。

安全の確保とタイミングが合わず、少々手配に時間がかかってしましたが、無事行えました。

キーーンと刃が回転していき、すごい火花と同時に金属が切断されていきます。

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約20秒程で切断。過去最速?だと思います。

今までの鉄U字ロックは、跳ね返りや硬さ、粘りがあり1分以上かかっていましたが、これはスーと柔らかい感じで切れていきました。

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切断日から撮影日まで少し時間が空いたので、断面が少し錆びてしまっています。

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金属部分の厚みを測ってみました。約13mmほど。

KRYPTONITE Evolution Mini-7と同サイズですね。こちらとは素材や焼き入れの有無が違うのだと思いますが、それでもこの太さがあれば750mm以下のボルトクリッパーは防げるということでしょう。

 

f:id:tugune:20201222160525j:plainゴムカバー込みだと、17.5mmほどなので、ゴム厚みすごいですね

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【AAA】「ランチなら行けるかも」

 

格付としては「AAA」です。十分おすすめできるレベルの鍵です。

750mmのボルトクリッパーで切断できなかったので、無事上位ランクに食い込みました。

電動工具の切断には耐えられなかったため「AAA」です。

嫌な言い方をすると上記のようになりますが、現状ほぼ電動工具に勝てる鍵はないので、実質現状では最上位のカテゴリーになりました。

同じカテゴリー内には、Master Lock シリンダー式U-ロック、Evolution Mini-7、ウインテックがありますが、この中では最下位になると思われます。

電動サンダーで切断する際、今までと同じ人に切断してもらっているのですが、この鍵だけ「ん?柔らかいね。今までのと違いスーっと切れた」と驚いて言われるぐらいの硬さが理由です。確かに20秒ほどで過去最速だったですからね。

総評

1Kg級のU字ロックだけあって大型ボルトクリッパーは耐えました。

ちょっと蛇足ですが、やはりU字ロックに関しては「1Kg」が大型ボルトクリッパーで切られるか、切られないかのボーダーラインになるのではと思っています。

Evolution Mini-7、ウインテックも980gですから、ほぼ1Kgです。対ボルトクリッパーでU字を探すときは、この重さを目安に探すと失敗が少ないかもしれませんね。

 

ということで、通常利用だとまったく問題ありません。盗難対策の鍵として有益です。

あえて言うなら、本当に指紋認証が必要なのか、それにこの価格が出せるのか!ぐらいですね。予算に余裕があるなら、十分おすすめしますよ。日々の施錠動作を簡略化したい人はぜひ使ってみてください。

ただ、鍵は財布などに入れて常に持ち歩いていたほうが良いです。

精密機器ですから、時として正常に動かないときがあります。家のスマートロックで何度か家に入れなかったことある私がいうので間違いないです。。

 最後に、今回の実験は実際の現場で使った検証結果ではないので、そこはご了承くださいね。初期不良や故障が起こらないことを祈っています。