Bicycle Security Lab

自転車の鍵の格付サイトです。鍵のレビューや切断実験、鍵の研究を行っています

Master Lock シリンダー式U-ロックを格付してみた

Master Lock シリンダー式U-ロック

キータイプ:カギ式
素材:焼入れ鋼製シャックル
サイズ:径13mm

f:id:tugune:20181126201944j:plain

「レビュー」

マスターロック・セントリー日本株式会社という会社が取り扱っているU字ロックになります。マスターロックというのはアメリカのブランドのようです。Amazonでの取り扱いは幅広く、自転車用に限るとバリエーションは少なめのようです。

あまり聞き慣れない会社だなと思ってオフィシャルページを見ていたら、セントリーの商品も取り扱っているんですね。こちらの金庫は買ったことがあるので、そちらには馴染みがあります。セキュリティ関係の会社が取り扱っているブランドなら安心感ありますね。

商品説明を見る限りサイズ的にも重さ的にもかなりの強度が予想されます。13mmというスペックだけでも上位に食い込みそうですね。

では、細部を撮影してみました。

f:id:tugune:20181126202225j:plain

U字のシャックル部分です。リフレクター機能のあるデザインが特徴的ですね。ゴムのようなクッション性があるので、フレームにぶつかったりした際でも傷がつくのを予防できそうです。

f:id:tugune:20181126202032j:plain

私の好きなディンプルタイプではないですが、鍵はまさかの4つ!家と会社、常備用、予備の4つ使い方ができそうですね。ABUSは2つが多かったので、これはかなり嬉しいです。

f:id:tugune:20181126202014j:plain

シリンダー部分です。ザ・男って感じのでデザインで、多少好みが分かれそうなイメージはありますが、かなり頑丈な作りをしています。

f:id:tugune:20181126202106j:plain

鍵穴部分です。価格もこのクラスにしては安めなのでしかたがありませんが、塗装を含めたパーツの精度はちょっと雑な感じです。ただ、ゴミの混入を予防するカバーが付いていたりと機能性は充実しています。

鍵の開け閉めはちょっとだけコツが必要です。鍵をかなりしっかり奥まで差し込まないと鍵が回らないことがありました。

f:id:tugune:20181126202200j:plain

U字の先端部分です。両サイドがこのように引っかかるタイプなので、両サイド2本を切断しないと太いフレームから鍵を外すことはできません。セキュリティとしては通常の2倍時間がかかる構造なので優秀です。

f:id:tugune:20181126202139j:plain

シリンダーとU字部品の接合部です。うっすら見える金属がせり出してロックします。

 

色々な場所のサイズを測ってみました。

まずは本体重量から。 

f:id:tugune:20181126202250j:plain

約1kgですね。 Evolution Mini-7とほぼ同じです。購入する際はやはりこのあたりがボーダーラインになると思うので、絶妙な重量だと思います。

f:id:tugune:20181126202319j:plain

U字部分の厚さを測ってみました。16.29mm。弾力性のあるカバーなので押し込みぐあいでの誤差はあると思いますが、金属部分が13mmなので、カバーの厚みは約1.5mm~2mmほどのようです。

f:id:tugune:20181126202343j:plain

金属部分のサイズも測ってみました。約13mmで公称通りです。なかなかの精度!

本体サイズも測ってみました。

f:id:tugune:20181126202409j:plain

まずは横幅の広さ。約107mmですね。結構広いですね。 

f:id:tugune:20181126202430j:plain

縦幅は約210mmでこちらも十分な長さが確保されています。Evolution Mini-7よりも一回り大きいイメージでしょうか。

f:id:tugune:20181126202456j:plain

ABUS6500と比較してみました。内側のサイズとしては多関節の6500の方が広いですが、これ1.5kgあるので、、。U字ロックでもこのぐらいのサイズがあると地球ロックもしやすいかと思います。

自転車に取り付けてみました

f:id:tugune:20181126202522j:plain

40mmのパイプに留めてみました。やっぱりU字は小さいホイールにも付けやすいですね。余裕です。 

f:id:tugune:20181126202544j:plain

フレーム部分にも付けてみました。40mmパイプと40mmのフレーム。縦の長さは210mmほどだったのでこちらも余裕。

f:id:tugune:20181126202609j:plain

フレームにマウントするバーツが最初から付属しています。この状態で商品が届きました。マウントパーツはたまに取り付け方が複雑だったり、組み立てが必要だったりするので、こういうイメージしやすいのは助かりますね。

 

「実験」

では、実験を始めたいと思います。一応、手で壊れないか確認してみますが、もちろん問題ありません。

強力ニッパー、200mmのボルトクリッパー、300mmのボルトクリッパーで試みましたがまったく問題ありません。

f:id:tugune:20181126202637j:plain

300mm程度のボルトクリッパーでも実験しましたが、やはり外側のカバーを破るのが限界でした。 

次に、450mmのボルトクリッパーで実験します。

まあこのあたりも過去の事例的にはスルーしたいぐらいですが、念のため実験します。 

f:id:tugune:20181126202656j:plain

450mmで5分ほど頑張りましたが、、案の定、外のカバーしか切れていません。というか450mmのボルトクリッパーでは、まだ16mm級の棒を挟み込むことができません。

次に、750mmのボルトクリッパーで実験します。

さて、問題はここからです。やっと16mmの棒を挟み込めるサイズになりました。商品説明にも焼き入れ金属と書いてありましたが、焼き入れの強さは想定内です。がんばります。
では実験の続きをしたいと思います。まずは腕力だけ何度も切断を試みて見ましたが、私の力ではどうにもならなかったです。。

750mmは全長が長いので床を使って体重をかけていきます。バキンって音がしてU字ロックが弾かれます。これカバーがなかったらフレームに傷入ってますね、、何度もチャレンジします。5分ぐらいした辺りから、ボルトクリッパーの刃が金属に食い込むようになってきました。これはいけるか、、

f:id:tugune:20181126202720j:plain

10分ほど格闘してみたのですが、私がさきに力尽きました。カバーを外して中の様子をみてみました。ボルトクリッパーの刃がかかったと思われる場所の色が変わっています。これはなんでしょうか。金属の摩擦によるものなのか、この金属の色なのかわかりませんが、表面に傷ができただけのようです。

最終、電動のグラインダーで実験します。

 想定内でしたが、最後はやはり電動グラインダーの登場になりました。ほぼ勝負はここで決まると思われます。電動工具の取り扱いはちょっと怖いので専門の人にサポートしてもらいました。火花がかなり散るので場所も移動します。

自転車にそのまま付けたままだと鍵が動いて危ないので、動かないように固定しました。ウィーンと高めの音が鳴り始めたと同時に、U字部分に当てていきます。

条件は通常と同じで1m手前からスタートして、切断作業に取りかかり、切り終えたら元の位置に戻りストップウォッチをオフにします。

ガガガーと2mを超える多くの火花が飛び散っています。50秒過ぎたあたりで半分以上切断しました。1分39秒ですべて切断。今回も2分かからずに決着しました。

f:id:tugune:20181212190701j:plain

比較的きれいに切断できました。カバーのゴムが独特な雰囲気を醸し出していますね。

念のため、 Evolution Mini-7も切り直します。

比較対象になる鍵はEvolution Mini-7と想定できていたので、こちらも持ってきています。できるだけ同じ条件になるようにして比較したいと思います(前回、切断したときの記憶が曖昧なのもありまして)。

f:id:tugune:20181212190901j:plain

左がMaster Lock、 右が前回切断したEvolution Mini-7です。シャックルのサイズもほぼの同じため、優劣が付かずにかなり手こずりました。数回切断しています。。

手作業なので力加減次第なのですが、ストップウォッチの数字としては、Master Lockは1分35秒。Evolution Mini-7は1分13秒。この時間の差はほぼ誤差の範囲だと思います。

切った感覚的には、表面はEvolution Mini-7の方が硬い印象です。しかし、切り始めていくとMaster Lockの金属の真ん中辺りからあまり進まなくなった印象を受けました。それが硬いからなのか、刃との相性なのかは分かりません。ん、、あくまで主観だとMaster Lockの方が切りにくいと言えるかもしれません。

 

【AAA】「ランチなら行けるかも」

今回の格付は、カテゴリーAAAです。

電動のグラインダーで切断できたので、「AAA」になりました。

そもそも実験している数が少ないというのもありますが、Evolution Mini-7以来のAAAカテゴリーです(このクラスの鍵の強度は想定できるのであまり実験していません)。

格付けの順位ですが、先ほどの実験ではほぼ互角。あえて言うなら Master Lockかなという感じでした。しかし、Master LockはU字のシャックル部分を2箇所切断しなければいけません。Evolution Mini-7は片方しかロックされていなので、どちらか1つを切断すれば鍵を外すことができます。 ※現在はEvolution Mini-7も2箇所ロックされるようです。格付順位に変更はありません。

この点からMaster Lockの方が上位にあると思われます。ただ、2本切断するとはいえ、時間にすれば1分も増えないと思うので油断は禁物です。

総評

電動グラインダーの存在。恐ろしいですね。YouTubeなどの動画を見ていても賞味の切断時間は数秒だったりします、。さすがに街中は目立ちすぎるし、夜中はうるさすぎるのでガチ窃盗団ぐらいしか用意しないとは思いますが、、恐ろしい、、

今回の決め手は、U字部分のロックの仕様により順位が決まりました。2本切断する必要があるMaster Lockの方がセキュリティ強度は高いです。

格付けはAAAなので、ランチぐらいいけるかも!との評価基準ですが、これはあくまでほかのカテゴリーとの相対評価なのでご注意ください。ガチ窃盗団に狙われて電動工具を持ち出された際は、その限りではないです。

ただ、メインの鍵としては十分といえる強度はあります。これでダメなら、、残るは1kg以上の鍵に手を出すしかありません。その鍵でも電動工具でどのくらい耐えられるかといわれると、、悩ましい感じだと思うので、駐輪場などでどうしてもという際は20kgぐらいあるバイク用を使うのが好ましいと思われます。。 

持っている自転車の価格にもよりますが、通常利用であればこちらの鍵で十分な強度があります。この重量さえクリアできるなら十分おすすめできる鍵と言えるでしょう。