自転車の鍵によく使われている最強繊維
高級な鍵のカバーとして使われているケブラー繊維。防弾チョッキや手袋など高度な耐久性が必要なときに使われているイメージがあります。「同じ重さの鋼鉄と比べて5倍の強度がある」とも言われています。
しかし、鍵の切断実験をしていると、あっさり切れている気もします。そこで、ケブラー素材って実際どうなのかを検証してみたいと思います。
ちなみに、ケブラーは下記の東レ・デュポン社の製品が正規品のようですね。
ケブラー素材を購入
ケブラー繊維には、標準的なケブラー29、高弾力率を持つケブラー49、高い伸度のあるケブラー119、高い強度のあるケブラー129の4種類があるようです。
少し調べて見たのですが、まったく意味が分かりません、、引っ張り強度が強そうってことは何となく理解しました。
実験するにあたり、本当なら最強のケブラー129を購入したいところですが、どこに売っているのかも分からなかったので、Amazonで唯一見つけたケブラー29という標準強度の繊維を太さ違いを購入してみました。
ケブラー繊維のサンプル商品です。織り方は数種類あったのですが、何となく調べて強度が高そうな種類を選んでみました。
実験に使うのはこの小型工具たちです。一般のホームセンターにある道具ばかりです。どれも20mm以下でポケットにも入るサイズです。
ケブラー繊維を拡大してみました。すごい細い繊維ですね!しかも柔らかい!
実験開始
手っ取り早く、一番太いものをチョイスして実験したいと思います。
まずは、ハサミから。
どこにでもある紙を切る用のハサミです。
このハサミだと紙のようにサクサクとはいきません。ケブラーさすがです。素早く切ると空回りして切れないので、ゆっくり刃を合わせるようにジョキジョキと切っていきました。
約31秒ほどで無事切断完了。このクシャクシャに絡み合う繊維の様子は、鍵の切断実験で見覚えがありますね。
ワイヤーカッターでも実験します。
このぐらいの厚みだと、ワイヤーカッターの刃の中にするっと生地が収まるので、力が分散せず切断できます。ジョキジョキと確実に切り進め、速攻終わり!約6秒かからず終了でした。
ニッパーで実験してみました。
ニッパーは100均ではなく、ちょっと良いニッパーを使ってみました。切りにくいと思っていたニッパーですが、それでも約28秒ですか。ハサミと同じぐらいですね。
20mmのボルトクリッパーで実験します。
ボルトクリッパーは金属を切るものなのでさすがに繊維は無理かなーと思っていたのですが、、、約17秒。思ったより早かったです。刃先をよく見るとハサミのようにぴったり噛み合っていたので、重量級とは少し仕様が違うようです。
カッターでも切ってみました。
太めのカッターです。カッターは挟み込めないので、結構時間かかりそうだなと思っていたのですが、思ったより繊維の滑りはなく結果は約19秒。。。思ったより早かったです。
結果発表!
切断時間の最速をたたき出したワイヤーカッターの優勝でした。
今回使用したケブラー繊維は約10mmでの時間です。実際に鍵に使用する時は、鍵を覆うように使われると思います。なので、今回の実験の時間がそのまま反映されるわけではないのですが、それでも思ったより早く切れてしまった印象が強いですね。
「同じ重さの鋼鉄と比べて5倍の強度がある」と冒頭で書きましたが、よく考えると鋼鉄と同じ重さで5倍なので、この軽さだと鋼鉄の5倍の強度があったとしても、、って話ですよね。
今回、標準と言われるケブラー29を色々な工具を使って切ってみましたが、手応えとしては鍵でよく使われているケブラーと同等のように思います。
ケブラー29より上位のケブラーで実験していないので、あれですが、標準仕様のケブラー29を使っている鍵のカバーは、普通の布と大差ない。ということが分かりました。確かにハサミなら普通の布よりは切りにくかったですが、時間にすると数秒の誤差です。
この結果から、ケブラー繊維を使っている鍵だから安全だ!とはなりそうにないので、購入時は注意が必要そうですね。ケブラーの有無で鍵を選ぶことはないと思いますが、やはり金属部分の強度で鍵は選びたいですね。
また、上位のケブラー繊維が手に入ったら、改めて報告したいと思います。
2019.2.14追記
コメント欄にも記載していますが、繊維の耐切創性は「新規格(EN388:2016)(耐切創評価)」という基準があるようです。ケブラー等の耐切創性等については、もう少し勉強してから、また改めて記事にできればと思っています。
http://atom-hg.jp/basic/index.html