最強の繊維はないかもしれない
前回、「耐切創強度レベル5」の手袋を切断してみたのですが、みごとに玉砕しました。その結果を踏まえての後編スタートです。後編はより強度が求められる「耐針性手袋」を中心に切断実験を行っていきたいと思います。
興味がある方は、前編も見てみてください。
厳選した精鋭たちを集めました
今回用意したのは針も通さない耐針手袋です。前編の後半で少し触れましたが、医療関係など、針が手に刺さるリスクがあるときに使う手袋で、耐切創強度レベル5をクリアした上で、さらに耐針が加えられています。
なにがビックリって、このHex Armor とファルコンの手袋2つで軽く1万円超えています、、ちょっといい自転車の鍵買えちゃいます、、
ステンレスメッシュはちょっとした興味で切ってみます。
【耐針手袋】 Hex Armor シャープスマスター2 9014 M
【耐針手袋】 ファルコン スペクトラCX GABA 突刺防止加工
Hex Armor シャープスマスター2
個人的にはこのページに記載されている動画を見て、かなり期待しています。
https://www.youtube.com/watch?v=imPKUm0DPe4
引用すると「スーパーファブリックを3層重ねることにより、注射器や細いワイヤーなどに対して優れた耐針性を発揮します。」とのこと。
指先周辺は肉厚ゴムに覆われていてガチガチですね。これはすごそうです。
針で刺してみました!お、通らない!普通に刺したところ、貫通しないですね。
手袋の生地を掴み、ぐりぐりと押してみました。力を入れて押し込むと徐々に貫通していきました。
ではハサミで切ってみたいと思います。
いつも使っている事務用のハサミだとこの肉厚がゴムがまったく切れません。これはいい調子!買ったばかりの高級事務ばさみに持ち替えました。
ん、、普通に切れるじゃん。普通と言ってもサクってはなく、ゆっくりジャキって感じです。いつも使っている事務用ハサミは精度が落ちているんですかね。紙はキレイに切れるんですけどね、、
ワイヤーカッターでもチャレンジしてみます。
ワイヤーカッターの刃先は丸くなっていて、堅いゴムを挟み込めず思ったよりも時間がかかってしまいました。まあでも新品のハサミで10秒かかっていないので、、ですよね。
ということで「スーパーファブリックを3層重ねでも、ちゃんとした精度の高い新品のハサミなら余裕で切れる」という結果に。
ファルコン スペクトラCX GABA
こちらも引用すると「突きしに強い多層ポリエステルシートと合成繊維を立体縫製技術にて、縫い付けました」ということで、下記のページを見てもらうと上記の Hex Armorよりも強いんだぞ!という比較グラフが掲載されています。
確かにこちらも針を通しません。こんな手袋があるんですね、実際に使われるのは、医療や産廃物の現場などでしょうか。この手袋が必要な環境でお仕事されている方がいらっしゃるんですよね。ちょっと感慨深いです。
Hex Armorと違い堅いゴムに覆われていわないため、動きが少し軽いです。外側は普通の軍手と同じような素材でした。
ではさっそくハサミで切ってみたいと思います。
やっぱり普段用の事務用ハサミだと切れないですね。こちらも高級事務ハサミに持ち替えましたが、普通にあっさり切れちゃいました。ワイヤーカッターでも同様に普通にきれますね。
やはり回転刃や針と、ハサミの耐性はまったく別物のようですね。残念
こちらも思ったよりあっさり切れてしまった印象です。
ステンレスメッシュ ワイヤー 手袋
これはただの興味で購入したステンレスメッシュのグローブです。刃物を扱うときに指が切れないという触れ込みで、口コミも良かったのでつい買ってしまいました。
普段使いとしては、明らかに怪しい雰囲気満載の手袋です。
ハサミでもワイヤーカッターでもあっさり切れてしました。
結論、繊維はハサミで切れる
前編、後編とケブラー素材よりも強い繊維を使ったグローブの切断実験を行ってきましたが、どれもあっさり切れてしまいました。
この実験結果から、自転車の鍵に使われているケブラーなどの繊維は、防犯の強度にさほど影響はない!と言ってもいいのではと思います。
ただ、このような繊維(ケブラー等に限らず)が自転車の鍵にあると無いとでは大違いです。例えば、カバー付きの鍵を切ろうと思った場合、ボルトクリッパーで繊維はほぼ切れないので、完全に切断するにはハサミが必要になります。そういう意味では気持ち強固になりますよね。
ただ、普通のハサミで切れてしまうので、ケブラーでも普通のナイロン系のカバーでも、さほど違いはないように思います。ケブラーを使うことで価格が上がるなら、普通の繊維にしてほしいって感じです。
後書き
最強繊維のみで作った超軽量ロックが誕生するかと思ったのですが、中々難しそうですね。世の中に存在しない理由、と言ったところでしょうか。
ただ、今回の実験により新しいアイデアも浮かびました。今後に期待を。