Bicycle Security Lab

自転車の鍵の格付サイトです。鍵のレビューや切断実験、鍵の研究を行っています

SLÄTTNY(スラトニー) を格付してみた

SLÄTTNY(スラトニー)

■アイシン高丘株式会社
■ポータブル
■ (長さx幅x高さ) 17.5 x 6.3 x 4.2 cm
■合金鋼
■重量 780g 

「アイシン高丘株式会社」が手がけた、自動車のドア内部の補強材に使われる強度の高い鋼板で作った鍵です。

2年少し前にクラウドファンディングで出ていたの覚えています。

今までにないコンセプト、強みをもった鍵なので当時から気になっていました。

ちなみに、この形状は多関節ロック・ブレードロックと呼ばれるカテゴリーになりますね。ABUSのブレードロック以来の検証です。

価格は2万円を超える高価格の商品。ブレードロック系は構造が複雑になるので強度を維持しようとするとどうしても価格が上がってしまうようですね。

とはいえ、このパッケージ凄くないですか!自転車の鍵のパッケージとしては最高峰かもしれません。ちゃんとしたケースに入っているのを初めてみました。

袋まで付いています。バッグに入れるときなどにいいですね。

レビュー

この上質な佇まい。無骨な商品が多いこの業界で、このクオリティは見たことがありません。とても大切に作られた感じがしていいですね。

鍵を取り出してみました。すごく高級感はあるわけではないですが、作りのクオリティの高さが見て分かるぐらい、丁寧な仕上がりです。

関節の部分も動きが滑らかでびっくりしました。金属の擦れる感覚がなくABUSなど海外勢とは別物です。

シリンダー部分です。お美しい。

この写真だと施錠構造が丸見えですが、施錠時にはすべて隠れます。

通常のU字ロックなどと同じ構造ですね。

ABUSなどはシリンダーにさし込むタイプですが、こちらははめ込むタイプです。

横から見てみました。プレートの中央がくぼんでいるようです。

流線形でおもしろい形状です。強度を保つなどの意図があるのもしれません。

鍵は2つ付いています。

やっぱりディンプルキーがいいですね。

安い鍵とは比べ物にならないぐらいピンの数が多いです。セキュリティ面もちゃんとしているようです。

ボディはしっかりした樹脂で覆われています。

関節部分もしっかり作ってあるように見えます。

色々なサイズを測ってみた

プレートの一番細い場所は約31mm。結構幅がありますね。

厚みは約6mm。こちらも肉厚です。金属部分が気になりますが、検証後に測ってみたいと思います。

先端は約4.3cm。思いのほか大きい印象です。

広げてみました。中心部分で縦約9.5cm、横は一番長そうな場所で約31cmほど。

このぐらいあれば地球ロックするにしても十分です。コンビニも余裕です。

重量は約777g。スペック表記が780gなので若干軽いですが誤差の範囲です。

参考までに手元にあった真ん中「ABUS6000」と右「ABUS6500」です。

比較してもかなり広いですね

皆さんが気になる関節部部ですが気持ち隙間がありますが、このぐらいなら大丈夫な気がします。のちほど。

自転車に取り付けてみた

もはや検証する必要性がないぐらい十分すぎる広さです。

このブロンプトンは16インチということもあり、先端の突起が引っかかりやすいですね。ちょっと気になります。

先端の幅が約4.3cmあるので、水平では入らず縦にして入れる必要があるのも原因のひとつかと思います。

フレーム部分もまったく問題ありません。余裕の長さです。

「実験」

最初にニッパーで試しましたがさすがに余裕。

次にワイヤーカッターで切りましたが、こちらも樹脂が切れただけで余裕。

200mmのボルトクリッパーも全然余裕。

そして、ボルトクリッパーの300mmで検証します。

思いっきり力を入れて挟みますが、さすがにこちらも全然切れません。

切れないというか底付きする感じで、ボルトクリッパーのハンドル同士がくっつく位置まで閉じてしまっています。

過去に検証したPRのTiGr Lockの新製品【TiGr®BLUE(BETA版)】と同じ感覚です。

 

 

とはいえ、10分というルールを取り入れているのでジワジワ、コキコキ。

4分24秒ほどでパキン!あ

切り進めているような手ごたえは全然なかったですが、ジワジワ攻めていたようです。

金属プレートの左からニッパー、200mmボルトクリッパー、ワイヤーカッター、300mmボルトクリッパーです。

カウントしていないので何回挟み込んだか分かりませんが、切断できてしまいましたね。450mmや750mmでも検証しましたが結果は同じでした。

450mmは3分少しと300mmより少し早め。しかし、750mmは時間がかかりました。

これはボルトクリッパーが大型になるほど刃と刃の隙間が空きやすくなり、刃も尖っていないものが多いため、薄いプレートには力が加わりにくくなっていると推測できます。(もちろん、ボルトクリッパーのメーカーによって個性があります。)

 

もしかしたら、プレートの凹凸が全体の剛性にはメリットを与えていた反面、ボルトクリッパーに対してはデメリットになっていたのかもしれませんね。

 

ちなみに関節部部分ですが、関節周辺のサイズが樹脂含め3.1cmと大きくボルトクリッパーで挟み込むのは困難でした。

プレートのサイズを測ってみた

厚さは約2.1mm。TiGr Lockの【TiGr®BLUE(BETA版)】が約2mmだったのでほぼ同じですね。

プレートの幅は約22.3mmでした。

B「トイレなら行けるかも」

スラトニーは300mmのボルトクリッパーで約4分少しで切断できてしまったので、ランキングのカテゴリーは「B」になります。

価格を考えると物足りない結果となりました。

この結果を持ち出すと長時間の施錠は不安かもしれませんね。

780gという重さも同カテゴリー内の「U GRIP BORDO 5700」の823gと似ています。ということは、やはり重さが正義なのでしょうか。

ブレードロックで1つ上のカテゴリー製品はABUSの定番「BORDO 6000」1kgちょいになりますからね。それでもボルトクリッパー750mmはクリアできていませんが、、

 

「B」カテゴリー内の位置付けですが、「DOPPELGANGER ダイヤルコンボリフレクトチェーンロック」はチェーン6mmで約30秒ほど。「U GRIP BORDO 5700」は6分少しかかったことを考えると、この中間かと思われます。

ちなみに「U GRIP BORDO 5700」は7年前に検証しているので、私の工具セレクトのセンスや切断技術が向上しているのもしれませんので、あくまでN1の参考事例です。

まとめ

長時間、大切な自転車を停める場合はより強固な鍵をおすすめします。先程の実験内容からこの鍵をメインにするのはおすすめしづらいです。

1つだけ持ち歩く常用の鍵としては、やはり力不足感は否めないですからね。

ブレードロックのカテゴリー内で選ぶとしても、高い自転車や通勤・通学に使うなら「ABUS6500」、次点で「ABUS6000」を選択した方が安心かと思います。

 

ただ、ABUS「BORDO 6000」より約300g弱軽く、「U GRIP BORDO 5700」より大型のボルトクリッパーに強めの製品であることに間違いはありません。

実際の盗難現場を考えた場合、関節部分は「BORDO 5700」より「スラトニー」の方が強固なので、総合判断としては「U GRIP BORDO 5700」より上位になるシーンも十分ありえます。

トイレなど少しだけ離れる用途であれば、地球ロックできる範囲も広く、ブレードロックでは軽めの方なのでおすすめできます。

自転車の鍵は適材適所なので、目的に合った鍵を選択してくださいね。

 

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