今更の話ではあるのですが
2018年頃YouTubeでとある動画が公開され、自転車のロック界隈に激震が走りました。
ABUSの多関節ロックカテゴリーの中で何年も最強ランクに君臨する「ABUS Granit Bordo 6500 X-Plus」という商品をナットスプリッターでいとも簡単に切断するという内容です。かなり話題になったことを記憶しています。
実際私も長年この鍵を使っていたので多少不安に思っていました。
今回、ほぼ同じ商品と思われるナットスプリッターを手に入れたので検証してみたいと思います。
ちなみに、「ABUS Granit Bordo 6500 X-Plus」は格付ランキングに登場はしていませんが、750mmのボルトクリッパーで切断できません。
ナットスプリッター
工具について多く言及するのは良くないと思うので、さらっと流しますね。
基本性能としては約26mm幅のナットを切断できるようです。
動画のように少し細工をすると最大29.5mmほどまで広がります。
YouTubeの動画ではさらっと関節部分にナットスプリッターをはめ込んでいましたが、実際には「ABUS 6500」のカバーがあるのでそのままでは無理です。
検証してみた
ルールは通常の格付実験と同じ10分を採用します。
1m離れた場所でストップウォッチを押してスタートして作業を始めます。
YouTubeの動画と違い、鍵を万力で固定せず実際の施錠状態に近い状態で行います。
ではスタート!
先ほど確認したように、リベット周辺のサイズが大きいためそのままではナットスプリッターをセットできません。
まずはカバーを剥がす作業から行います。
が、初見ではどうすればいいのか分からず手前のプレートのカバーを剥がすだけで5分使ってしまいました。
カバーを剥がしそのままナットスプリッターを取り付けるのですが、どうにも幅が足らず手こずりました。
数分かけてやっと取り付けたものの、、
ナットスプリッターと鍵を片手ではうまく固定できず、
ソケットレンチに力が入りません。
なんとかソケットレンチを回し締め付けていくのですが、すでに重い、、
動画では軽くカチカチしていましたが、今回の検証では万力で固定されていないため、固定する側の手がもう痛い。。
締め付け続けるものの、やはり手持ちでは、、
ここで10分経過で「ABUS 6500」の勝ちです。
いつもの格付と関係のない検証なのでそのまま継続します。
どれだけ締め付けてもリベットは外れず。
作業位置を下げて床に近いところに移動して足で押さえつけながら回します。
しかし、両手を使っても固い、、
もう10分経過したところで諦めました。
考察してみた
カバーは片側のプレートだけ外したのですが、これが原因でしょうか。
しかし、裏返せない状態で下側のカバーを剥がすのは困難を極めます。。
もうボロボロですよ。
一度目で関節が破壊できず、もう一度検証し直したので関節部分が2か所剥がれています。
結果、2度とも破壊できませんでした。
動画では事前に2枚のカバーをきれいに剥がし、万力で鍵を固定しています。
ちなみに手元は見えていなのでどのような長さのハンドルで締め付けているのかは不明です。
話にもでてきますが、関節を破壊したのはリベットを直接切断したわけではなく、ナットスプリッターによってできた隙間に耐え切れずリベットがちぎれています。
このことからもかなりの力が必要だと考えられます。
このナットスプリッターは上側の刃が固定で、下側には刃が無く上に向けて圧をかける構造です。
これでは正直どうやってもリベットまで刃は届きません。
検証して理由が分かりました。
リベットを直接切っているわけではないので、ボルトクリッパーで関節を狙っているのとやっていることは同じですね。
もちろん、私の腕力不足感は否めないですが、それでも最後には足で踏んずけてソケットレンチを回してもだめだったので、、なんとも、、
まとめ
今回、リアリティのある環境に近づけた状態で切断を試みてみましたが、実際には動画のように簡単に、、とはいきませんでした。
私の感想としては、「ABUS 6500」を突破するためにこの工具を使うメリットは少ないと思います。
たぶん、電動のグラインダーを使った方がたぶん早いですから、、
といってもこんな分厚いプレート&隙間のない関節の隙間を不安定な環境で切るのは怖すぎますが、、
(正直、この工具が使える幅の鍵であればボルトクリッパーで挟んだ方が楽だと思います)。
ということで「ABUS 6500」をお使いの皆さま、ご安心してお使いくださいね。