Bicycle Security Lab

自転車の鍵の格付サイトです。鍵のレビューや切断実験、鍵の研究を行っています

TIGR LOCK MINI (タイガーロックミニ)を格付してみた

TIGR LOCK MINI(タイガーロックミニ)

チタン合金製鍵
正規代理店10年保証&永久修理
重量:430g

TiGr Lock (タイガーロック) mini 

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「レビュー」

今回、TIGR LOCK MINIを日本で取り扱っている会社様より、鍵の格付のご依頼を頂きました。その際、自由に記事にしてよいということだったので(ご配慮ありがとうございます)、遠慮なくレビューさせて頂きました!

 

この鍵は数年前にアメリカのクラウドファンディングで登場し、チタンを使った斬新な形状の鍵ということで、実はずっと気になっていました。

TIGR LOCK は、76cmの長いものや30cmの短いもの、形状も三角や四角とバリエーション豊富にあり、今回はミニということで三角の小さなタイプになります。

最近では国内で販売もされているんですね。便利な世の中になりました。

では、細部から見ていこうと思います。

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まず、シリンダーからフレームを外してみました。通常のU字ロックとは違う独特の形状をしています。なんかシンプルでカッコいいですね。

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開口部は自然の状態で約6cmほどの広さがあります。コンビニ等のポールは直径約76mmなので、少し小さいかなと思ったのですが2.3cmほどなら軽い力で広げることができました。

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これは面白いシリンダーの仕組みですね。

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先端をシリンダーに差し込んで鍵を回すと、突起が出てきて隙間が埋まり抜けなくなります。これ考えたひとすごいですね。シンプルかつ強固!

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鍵は2本付属しています。本音は3本ほしいところですが。
私の好きなディンプルキーではないですが上下どちらでもさせるのはいいですね。 

色々なサイズを測ってみました。

本体重量を測ってみました。

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本体重量は415gです。さすがチタンは軽いですね。パナソニックのアルミU字が380gなのでその凄さがわかると思います。

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取り付けマウントと一緒に計測しても454gです。ABUS6000の半分。。
これで強固な鍵だとしたら即買いレベルかと思います。

本体サイズを測ってみました。

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内径の縦は実用範囲で約18cm、横は一番広いところで約10cm。特殊な形状ではあるものの必要最小限のサイズはクリアしてそうです。

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先端の広さもそれなりにあり、直径約4.5cmほどのフレームなら難なく収まりそうです。

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幅は約3.2cmほど結構太いですね。

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厚みは約3.5mmでした。
過去実験した多関節は5mm前後が多いイメージなので、思ったより薄めですがチタンなので、薄めでも大丈夫なのでしょうかね。 

ABUS6500と比べてみました

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これはさすがに比べるのが酷ですが横幅は同じぐらいですね。
 なにが驚くってABUS6500は約1.5KgですがからTIGR LOCK MINI の約3倍、、

 

実際に自転車に留めてみました。

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ブロンプトンの前輪のスポーク幅が狭いので、普通に取り付けようとすると引っかかりつけることができませんでした。タイヤで地球ロックするケースは少ないと思いますが、小さい自転車を所有している人は気をつけてくださいね。

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鍵をくねっと回しながら差し込むと鍵を取り付けることができました。慣れればそんなに難しくはなさそうです。

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実際の取り付けシーンをイメージして真ん中のフレームに取り付けてみました。取り付けた感覚としては形状が独特なのでやっぱり少し慣れが必要です。

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必要最小限の隙間ですが、停める場所のポールサイズが事前にわかっている状態なら問題なさそうです。

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試しにフレームに本体を取り付けてみました。普通のU字ロックは取り付けにいつも困りますが、TIGR LOCK MINI はサマになっているような気もします。

「実験」

手の腕力でどうにかなる固さではないので、強力ニッパーからいきます。

若干、角にあとは付きましたが切れそうにはないので次行きます。

200mmのボルトクリッパー!歯型は結構付きますね。内心ちょっと不安。。

とはいえ、時間をかけても切れるレベルにはなりそうにないので、第一目標の300mmのボルトクリッパーに挑戦したいと思います。

300mmのボルトクリッパー登場です。

安い価格帯の鍵はここでストップしがちですが、チタンはさすがに大丈夫でしょう。

幅が3cmほどあるので中型のボルトクリッパーでは半分ほどしか挟めません。
グイッと腕力で挟みますが、ボルトクリッパーが歪みます。。
現在3分。鍵は自転車のフレームの下側に落ちているので、床を使って体重をかけることにしました!

プレートが薄いこともあり、グッと押し込むもボルトクリッパーが歪むだけでバチっと切れません。

手法を変えて反対側からも切れ込みを入れて、腕力で折る作戦に変更!さらに体重をかけていきます。。

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10分経過です。両サイドから挟んでいるので中々の傷が残っていますね。

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切り込み跡のアップです。もうちょっと頑張ったらいけたのか?約半分ほど切れてますね。ほかの素材でもそうですが、このあとちょっとが難しいんですよね、、
ちなみに自転車に取り付けた状態で、手で折れるか試してみましたが、この状態ではまだ折れませんでした。

中型450mmのボルトクリッパーが新登場します。

300mmと750mmの中間として登場した450mm。
先ほどと同じように端から切りにいきますが、刃の長さがプレートの3/2辺りまでですべてを挟み込むことはできません。

結果、体重をかけても切断までもっていくことはできませんでした。

大本命の750mmの大型ボルトクリッパーでチャレンジします。

このボルトクリッパーを突破できた鍵は未だに1つ。
しかし、これを突破しないとやっぱり不安です。

プレート幅は約3cmで750mmのボルトクリッパーの刃の長さならギリギリカバーできそうなサイズ感。

とりあえず、刃をかけて腕力で切ってみることにします。

厚さ約3mmということで手応えはまったくありません。ボルトクリッパーがクネクネするぐらいですね。歯型はばっちり付いていますが、切断まではいっていません。

腕も疲れてきたので、体重をかけることにします。750mmになると腰上あたりの位置までは床を使って体重をかけられます。

はい、ぐいっと体重をかけると、、

切れません!反動で体が浮き上がります。これはいける?と思って2,3度体重をかけたところで、バスっと大きな音を立てて切れました。

 所要時間は約2分半。体重をかけだしてからだと約30秒。恐ろしい、、

 

通常のU字ロックだと二箇所切る必要がありますが、この鍵は根元が固定されていないので、片方だけで鍵を外すことができました。

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切断面です。結構キレイに切れてますね。TIGR LOCK MINIは約3mm厚ですが、これがもし5mmだと過去の経験的には切れてないような気がします。
ただ、そうなると開口部の柔軟性がなくなって使いづらくなるかもですね。

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チタン製ということで期待値が高かったというのもありますが、もうひと頑張りしてほしかった印象です。ということで格付したいと思います。

追記:2019.7.30

リクエスト頂いていた金ノコにて追加実験を行いました。

コメント欄の動画に使われていた「Starrett BS1218 Bi-Metal Unique HSS Safe-Flex 300mm 18T 」というブレードについて調べてみたのですが、日本での入手は難しいようでしたので、一旦手持ちの「ステンレス用 32山」で実験してみたいと思います。

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実験結果としては約10分で約6割までしか切ることができませんでした。切り口を見てもらえば分かると思いますが、かなりブレています、、

ブレードの素材もありますが、特に刃数が18山と32山で倍近く違うことが影響しているのだと思われます。刃が細かいため削るスピードがかなり遅かったようです。

AA ゴールド「カフェぐらいならいけるかも」

格付は、またもやABUS6000と同じカテゴリーになりました。

大型ボルトクリッパーで切れてしまいましたが「AA」のゴールドです。

このゴールドのカテゴリー内は強豪がひしめき合っています。
まずはカテゴリートップのABUS6000との比較ですが、切断難易度からしてABUS6000の方が上でしょう。

次に、WD-870 スチール U ロックとの比較ですが、切断難易度はほぼ同じなので、判断が難しいですね。なので、もう一度WD-870を切ってみたいと思います。

WD-870は二箇所切断が必要。U字部分が滑るので何度か挟み直しをしないといけない。この点はTIGR LOCK MINI にはないので、実質WD-870の上のようです。

ABUS 685との比較ですが685は体重をかけてすぐ切断されたので、TIGR LOCK MINIの方が上になります。

ということで、ABUS 685の上、WD-870の下にランキングすることにしました。

忘れてはいけないTIGR LOCK MINIの魅力

すっかり切断強度の話ばかりになっていましたが、TIGR LOCK MINI の魅力はその軽さです。
430gという軽さにも関わらず、この強度。というところ。
特別この鍵をフォローするわけではないですが、WD-870は790g、ABUS6000は1,220g、ABUS685は850gですからその軽さは特筆すべき点かと思います。 

では、パルミーは?どうかというと、パルミーは体重をかけずに切れたので、やはりこちらの方が強度は格段に上だと思います。


この鍵はかなり高価な部類なので、軽さと強度のどちらを優先するかによって判断は変わってくると思います。お金をかけてでも軽いものがほしい!という方にはおすすめできる鍵ですね。
パルミーなみの軽さで6mmチェーン以上の強度が手に入る感じですかね。

総評

300mm、450mmの中型ボルトクリッパーに耐えたとはいえ、750mmクラスの大型ボルトクリッパーには数分で突破されてしまいました。
プロに目をつけられるとやはり無力としか言えません。
とはいえ、衝動的な相手やバッグに隠せるレベルの工具を持っている相手には十分効果があるともいえます。長時間停めないといけない場合には、もっと強固な鍵をお使いください。

 

本当は使い分けするのがいいんでしょうけどね。
この鍵を購入できるような層のひとは、きっとABUS6500などのレベル15あたりと、このTIGR LOCK MINI のような500g以下の鍵を使い分けているような気もしますが。