Bicycle Security Lab

自転車の鍵の格付サイトです。鍵のレビューや切断実験、鍵の研究を行っています

tate(タテ) フォールディング ロック を格付してみた(対策品)

フォールディング ロック LKW19103

「スペック」

サイズ詳細:使用時:700mm 収納時:L90×W58×H23mm
重量:348g
付属品 : 4面ディンブルキー3ヶ付属

2mm厚焼入鋼鉄プレートに樹脂コーティング

f:id:tugune:20160827172418j:plain

「レビュー」

今回購入した商品は、素手で破壊できるという動画で一世を風靡した「tate(タテ) AG70 フォールディングロック   LKW14400」の対策品と思われる「LKW19103」になります。

素手で壊れるという衝撃的な動画から数年たっていますが、あのイメージが強いために手が出ないという方も多いような気がします。今回はそのイメージ払拭になるかどうか実験してみたいと思っています。

過去の製品は手元にないのでネットでスペックを見てみると、横幅と重さ、カラーリングが若干変更になっているようです。といっても数ミリ、数グラムなので大幅な変更ではないように思われます。ぱっと見の感想。

重量は348gととても軽量でバッグに入れていても違和感なく持ち運べます

パンツのポケットに入れるには少し大きいかもですね。樹脂コーティングが施されているので触った感じはほぼプラスチックです。デザインとして中のプレートが見えるようになっているので、安いなりにも防犯性を意識した作りになっています。

f:id:tugune:20160827174133j:plain

鍵は大好きなディンプルキーが3つついていますので、十分です。ただ、見ての通り安っぽさは否めませんね。

f:id:tugune:20160827174305j:plain

使用サイズは700mmということで、手元にある850mmのABUS6500と比較してみました。くねくねしていて広げにくいですが、内側の寸法は一回り違うぐらいで実用ではそんなに差がないと思われます。カラーリングがポップなので最強のプレートロック様と比べると華奢ですね。値段が6倍近く違うので当然ですが、

f:id:tugune:20160827174853j:plain

何でしょうね、この不安にさせるクニャクニャは。サイズとしてはこのコンパクトさを重視するなら十分の広さがあります。フレームにロックしてみても、この鍵は薄さと軽さがあるのでABUSよりも快適にとめることができます。

f:id:tugune:20160827175149j:plain

ワンプッシュでとめて、開くスプリングタイプです。高級な鍵もこうしてくれればいいのにとよく思います。

f:id:tugune:20160827175308j:plain

注目のプレートをとめているリンク部分を見てみます。ぴったり重なり合っています。ここの強度でこの鍵の批評が変わるのでとても大事な場所ですね。触って感じだとスムーズに動くぐらいですぐ壊れそうなイメージは少ないです。

 

「実験」

家庭用のハサミやニッパーで試みます。

プレート部分、リンク部分を切断することはできませんでした。プレートは薄いとはいえ2mmあるので手がさきにダウンしてしまいますね。リンク部分も安いニッパーでは力が入らずダメでした。

f:id:tugune:20160827175707j:plain

次に例の手で折れるのか問題にチャレンジしてみます。

自転車にゆるゆるの状態で施錠したケースで実験してみます。ぐっと曲がるものの折れる手応えはありません。プレートに粘度あるようで曲がりはするがポキッとはいきませんね。リンク部分もしっかり付いてきているようです。個体差じゃないことを祈ります。

f:id:tugune:20160827180206j:plain

次に、小型の工具を取り出しました。先ほどのニッパー同様、ハンドサイズだと手が痛くなって切断まではいきませんでした。リンク部分は無理だったため、プレートを攻める方向に変更しました。プレートも2mmだけあって小型の工具では凹む程度しか攻められませんでした。時間にして約5分で腕がパンパンです。

しかし、その切れ込みをみて、ふと工具を放し素手で力を入れてグイグイ曲げるとバリッと割れてしまいました。なるほど、、

f:id:tugune:20160827182434j:plain

f:id:tugune:20160827182515j:plain

防犯の一番の敵でもある中型のボルトクリッパーを持ち出します。

リンク部分は作業開始から約1分で切断。ほとんどの時間をプレートに刃を挟み込むのに使いました。なので正味切断は数秒です。プレート部分も同様に刃を入れましたがサクッとは切断できません。こちらもその後、素手で切れ込みを曲げるとさくっと割れました。

念のため 軽度の金属疲労を確かめてみます。

一旦、自転車から外しわざと鍵を垂直にして曲げてみましたが、一回程度は最初の実験と同じで曲がるだけですね。金属を疲労させるために逆方向へ何度か曲げ続けるとリンク部分より先にプレートの中心部からパックリ。。

f:id:tugune:20160827182758j:plain

たまたまなのか、プレートに穴が開いてる部分がありますね。そこが弱点になって折れてしまったようです。

f:id:tugune:20160827183256j:plain

プレートが先に割れてしまいましたが、リンクが強かったのは意外でした。直径4mmでピンは2mmほどですね。対策されたのはリンク部分なのかもしれません。

---

2017.4.7追記

製品表記は、2mm厚焼入鋼鉄プレートとなっていますが実際に断面を測ってみたところ約1.5mmほどの暑さで、プレート端と真ん中で暑さが違うようでした。

f:id:tugune:20170407224553j:plain

他の鍵の実験の際に撮影したプレート部分の写真。白とブルーがTATE。

「結論、一瞬なら目を離せるかも」

格付の判定ですが、今回はすごく悩みました。実際に使用する場面次第で格付が一段変わると思われます。例えば、鍵と地球ロック場所と自転車がほぼぴったりしていれば、中型工具を使わなければほぼ切断はできないと思います。しかし、場所により隙間が空いて鍵がゆるゆるしてしまった時、たまたま弱い場所を攻められた時は、小型工具と腕力で10分かからずにプレート部分が折れる可能性があります。

ん、、

格付けとしては、Cのブロンズにします。

理由は上記にあるように、「鍵の取り付け方がやむを得ずゆるゆるしてしまった」という場面は、いつかどこかで発生するかも!という想定のもと実験結果を反映することにします。地球ロックする場所はそんなに選べないですしね。

 

ちなみに、一つ上に格付したABUS1500との違いはコンパクトになり、自転車に装着できる携帯性でしょう。あちらはチェーンのため自転車に固定するのは難しいです。バッグに入れない限りブラブラしてしまいますからね。ほんの数分程度しか停めないという方なら、こちらの方が使い勝手がいいかもしれませんね。より防犯性能を重視するならABUS1500です。小型道具や素手ではどうにもなりませんでしたから。

 同カテゴリー内の「DOPPELGANGER ダイヤルコンボワイヤーロック」と比べると圧倒的にこちらの方が強いと思われます。価格差3倍の差はちゃんとあると思います。

という結論づけたとはいえ、

ボトルクリッパを持ち出されない限りそうそう大事にはならないと思います。

鍵の取り扱い&価格のコスパは非常によいので、ほんの数分だけ少し停めるという用途では十分な防犯効果を発揮してくれるでしょう(狙われていなければ)。くれぐれもこの鍵を使う際は、鍵の隙間少なくお停めください。数十分、数時間手を離れるときは、もっと強固な鍵を使うべきです。